J-PARC muon g-2/EDM experiment

Experimental principles

我々の実験はJ-PARCにおいてミュオンを冷却・加速することによって、「いつまでも広がらないミュオンビーム」を実現し、それをコンパクトな蓄積磁石に蓄積してミュオンのスピン歳差運動を測定します。

ミュオンビームは陽子加速器からのビームが標的で原子核反応を起こしてパイオンを生成し、その崩壊により生じるミュオンを捕獲・輸送することにより得られます。通常、この過程でビームエミッタンス(位相空間体積)は大きく拡がる(1,000 πmm・mrad) ため、高輝度なビームを得ることができません。

従来研究ではビームに起因する系統誤差要因が支配的でした。我々は、ミュオンを冷却・加速することにより得られる低エミッタンス(1 πmm・mrad) のビームを生成し、これを抜本的に解決することができます。すなわち、従来は不可能であった高効率入射・収束電場の排除・高い磁場一様性・陽電子飛跡の完全再構成を実現し、従来の系統誤差要因を完全に払拭することができます。

現在、ブルックヘブン国立研究所(BNL)の実験機器をフェルミ国立研究所(Fermilab) に移設し、従来と同じ手法で統計精度を100 ppb に改善する実験が行われています。一方、異なる方法で検証できるのは現時点で唯一我々の実験だけです。

実験エリアの全体図